医療としてのアンチエイジング

日本でアンチエイジングという言葉が広まったのは美容業界からだというのは前章でも述べました。この時は主に肌に関するアンチエイジングをテーマに絞って説明しましたが、美容関係でアンチエイジングと言えばもう一つ欠かせないものがあります。それがダイエットです。実はこのダイエットは医療分野にも深く関係してくる話しでもあります。医療の世界でダイエットという言葉は生活習慣病の予防が主たる目的であり、それがアンチエイジングに直結して行きます。単に痩身を目的とせずに健康的に痩せることに重点がおかれる医療向けのダイエットの方がよりアンチエイジングを語るには相応しいと言えるでしょう。

 

生活習慣病とダイエット

生活習慣病という言葉も今ではすっかりと世間に定着した言葉です。生活習慣病は生活習慣の乱れからくる様々な病気の総称ですが、その中でも特に重要視されているのが動脈硬化症、高血圧症、糖尿病、メタボリックシンドロームです。これらの病気を引き起こす生活習慣の乱れとして一番注意されるべきは食生活の乱れと運動不足です。一つ一つの症状を細かく説明するよりもこれらの病気が「血管性疾患」と呼ばれる病気群だという事に着目しましょう。つまりこれら生活習慣病を代表する病気は全て血管の機能劣化や機能不全によって引き起こされる病気であるということです。医療の世界では動脈硬化や高血圧症、糖尿病は代謝生疾患と呼ばれています。代謝生疾患とは代謝が上手く行かなくなる事で発症する病気です。代謝は血流と密接に関係しています。代謝とは前章でも説明したとおり臓器や器官が正常に機能するために常に古い細胞を新しい細胞へと入れ替える事ですね。そこでは様々な化学変化が起こっていて、その化学変化に必要な栄養素やエネルギー、酸素などを運搬し、代謝の結果生じた老廃物や古い細胞を運び出すのが血管の仕事です。動脈硬化症や高血圧症は血管そのものの病気である事は名前からも明白ですが、糖尿病の場合は膵臓の機能不全により血液中の血糖値が上昇し、その結果として血流障害を引き起こして様々な合併症を引き起こす病気です。したがって血管の機能低下による病気と位置づけられているのです。またメタボリックシンドロームは脂肪が主に関係してくる病気ですが、脂肪が血管や臓器にへばりつく事で血管に炎症を引き起こし様々な病気を生じるのがメタボリックシンドロームの正体です。これらの病気はいずれも血管の機能不全を引き起こす事から血管性疾患と呼ばれています。現代のように高カロリー低タンパクな食事を摂取し続け、過剰摂取したカロリーを運動で消費する機会が少なくなると簡単に生活習慣病を引き起こしてしまいます。生活習慣病を放置すると日本人の三大死亡原因と言われるがん、心臓病、脳梗塞などの深刻な病気にまで発展してしまう怖い病気です。生活習慣病にかからない様にするには食生活と運動という生活習慣を見直す必要があり、そのためにダイエットが必要となるのです。ただし医療目的のダイエットは単に痩身を目的とするものとは厳密に区別される必要があります。つまり健康的にやせなければ何の意味も無いどころか却って状態を悪くさせる可能性があるということです。正しい食事を一日3度きちんと食べ、カロリーを運動で消費して血管を丈夫にする事で生活習慣病を予防、改善するのがひいてはアンチエイジングにも繋がって行くのです。

 

代謝を正常化することこそアンチエイジング

生活習慣病を予防あるいは治療するという事はすなわち血管を丈夫にすることと言っても過言ではありません。血流が代謝と深く関わっている事は既に述べましたが、代謝サイクルが正常な状態だと老化現象は発現しにくくなります。つまり、アンチエイジングとは代謝活動を健康な状態に維持し続ける事であり、そのためにも血管の果たす役割は非常に重要なものだと言っても差し支えないのです。また代謝を正常化するためには酵素の働きを知る必要がありますが、それは次章以降で順に説明して行きたいと思います。