アンチエイジングと再生医療1

私たちの体内にはおよそ60兆個の細胞があり、それらが互いにネットワークで繋がる事で「人間」としての機能を維持しながら生活を送っています。しかし、私たちの体の始まりである卵子はたった一つの細胞、つまり単細胞なのです。その単細胞である卵子が受精によって細胞分裂を繰り返しやがて胎児が誕生します。私たちの体内の60兆個の細胞は全て一つの卵子細胞から誕生したものなのです。それはまさに生命誕生の神秘です。これから話す事は少しアンチエイジングとは縁遠い話しの様ですが、アンチエイジングを知る上で知っておいて損は無い話しですので、この機会にお話ししておきましょう。

 

人体の不思議

私たちの体を構成する細胞は全て一つの卵細胞が分裂する事で違う目的を持つ細胞へと変化して行く事で誕生しました。つまり、同じ遺伝子情報を持ちつつ、その一部のプログラムを書き換える事で違う働きをする細胞へと変容させそれらを繋ぎ合わせて一つの臓器や器官が形成されているという事になります。ここで一つ大きな疑問が生じませんか?私たちの体って全て同じ細胞が素になって出来ているにも関わらず、再生する部分とそうでは無い部分に分かれますね?例えば怪我をした場合、皮膚細胞は再生して傷は元に戻ります。骨も骨折しても元に戻る働きがありますね。しかし手や足は切断されると元には戻りません。また歯は一度だけ乳歯から永久歯へと生え変わります。内臓では肝臓は部分切除をしても再生する臓器としてしられています。どうして全ての細胞は単細胞である卵子から出来たにも関わらず再生する部分とそうではない部分とに分かれるのでしょう?更に不思議は続きます。代謝とは新しい細胞が古い細胞と入れ替わる事で臓器の働きを正常に保っているという話しを覚えていますか?手術などで胃や腸を切除するとその臓器は再生しませんが、その臓器を構成している細胞は常に再生を繰り返しているのです。これは大いなる矛盾ではないでしょうか?

 

最先端の再生医療

私たちは指を切断したり、手術で内臓の摘出術を受けたりしたらその指や臓器は再生しないのが当たり前だと思っています。しかし、元々細胞分裂を激しく繰り返して命を生み出す単細胞である卵子は再生する能力を持っているのです。それ故に卵子の子孫である細胞達は再生を繰り返し代謝活動を行う事が出来るのです。「再生医療」という言葉を最近報道などで良く耳にします。この再生医療とは幹細胞と呼ばれる単細胞を目的の臓器や器官に育つように培養するという治療法です。現在では角膜移植や自己血輸血、白血病の治療などに応用されていますが、幹細胞は体中のあらゆる臓器へと姿を変えて行く事が出来るため、将来的には病気で機能不全を起こした臓器を全摘出をする際に事前に患者の幹細胞から摘出する臓器のコピーを作り出しておき、摘出後にそのコピーした臓器を移植する事の研究が進められています。生命の神秘に迫る研究です。この治療には倫理上の問題や宗教的な思想などクリアしなければならない問題も多いのですが、がんや難病に苦しむ患者にとっては大きな福音となることも事実なのです。

 

人体の不思議2:何故敢えて再生しない臓器を作ったのか?

幹細胞は人体の至る所に存在している細胞です。つまり、本来であれば体中のあらゆる臓器は再生してしかるべきものだと考えるのが自然ですね?しかし現実はそうではありません。実は卵細胞は細胞分裂を繰り返し、人として必要な臓器を作り出す過程で、それぞれの臓器の働きにあった細胞にするために自らの遺伝子情報を書き換えるという離れ業をやってのけます。つまり、多くの臓器や器官が再生出来ないのはその臓器や器官が「機能維持目的の代謝以外では再生しない」というプログラムが書き加えられるのです。何故卵細胞はそのようなプログラムを書き加えるのでしょうか?その多くは謎に包まれていますが、がん発生のプログラムにそのヒントが隠されているとにらんでいる専門家もいます。そこには二つの大胆な仮説があります。ここからアンチエイジングにどう繋がって行くのか、お楽しみはこれからです。