美容としてのアンチエイジング

日本でアンチエイジングという言葉が広く知られるようになったのは、化粧品のCMからだと言われています。エステティックサロンなどではそれよりも先んじて使われるようになっていた言葉ですが、市民権を得たのはインターネット広告やテレビCMなどメディアの力によるところが大きいのは事実ですね。化粧品といっても主にスキンケア用の基礎化粧品がアンチエイジングの主力商品となります。要はシミ、シワの無いハリのある素肌は若々しく見えるという事ですね。コエンザイムQ10やコラーゲン、ヒアルロン酸などの美肌効果が注目されはじめたのがその原点です。

 

シミ、シワ、たるみなど肌に顕われる老化のサイン

人を見かけだけで若いか年寄りかを判断するには肌の状態を見れば一目瞭然ですね。高齢者でも肌艶があり、シミやシワが少なければそれだけ若く見られますし。実年齢が若くても肌のコンディションが悪いと老けてみられてしまいます。この事は肌のコンディションを知る事で自分の老化がどれだけ進んでいるかを知る事が出来るという事を意味しています。言うまでもなく肌も人体を構成する60兆個の細胞から出来ている組織です。この膨大な数の細胞は血管とリンパ、神経によって一つ残らずネットワーク化され、それぞれ複雑な指令のやり取りをしながら生命活動を維持しているのです。つまり、肌に老化のシグナルが出ているという事はそれとネットワーク化されている体内でも老化が始まっていると考える事ができるのです。

 

肌老化がもたらす悪影響

肌は体外の異物や有害物質の侵入を防ぐという重要な役割を担っています。体の最も外側を覆っている組織ですが、シミやシワ、たるみ等の老化現象が出始めると見た目だけでなく、本来の肌機能も低下してしまい、身体に深刻な悪影響を及ぼす事になります。もう少し具体的に説明して行きましょう。まず、シワやたるみは肌全体に溝が出来たりくぼみが出来たりする現象です。元来肌は伸縮性に富んでいて適度な油分と弾力で異物の侵入を拒み続けているのですが、肌全体に溝が出来る(シワやたるみが増える)事で表面積が増え、異物との接触する範囲が広くなる事になってしまいます。また弾力(ハリ)が弱まる事で異物を跳ね返す力も弱まり、異物が肌表面に取り付くきっかけを増やしてしまうのです。つまり異物による波状攻撃を防ぐための第一防衛網が突破されるリスクが高まるという事ですね。

 

肌細胞が老化するとは

肌細胞は水分を豊富に含んだ細胞が層状に重なり合って弾力と強度を保つ構造になっています。人体で最も細胞の入れ替わり(代謝)が活発に行われている組織の一つです。代謝とは古い細胞が新しい細胞に入れ替わる事で常にその臓器や器官組織が正常に機能するようにメンテナンスを行う事を言います。つまり、代謝無くして人は生きて行く事が出来ないのです。代謝を行うには代謝酵素の存在が不可欠です。代謝酵素が不足すると細胞の交代が上手く行かなくなり次第に機能不全を起こしている古い細胞が肌組織の中に留まる事になり、その割合も増えて行く事になります。新しい細胞に挟まれた古い細胞は既に役割を終えているため、その部分のみハリが無くなり沈み込んで行きます。これがシワやたるみの原因となります。一方シミの原因は肌細胞で作られるメラニンという褐色色素が原因です。美白という言葉が流行した時にメラニンは何かと敵視された細胞ですが、実はメラニンは紫外線などの有害光線から体を守るという重要な働きをしている要の細胞なのです。しかし役割を終えたメラニンは代謝によって速やかに新しい皮膚細胞と入れ替わります。これによって肌は美白を保っていられるのですが、このメラニンがいつまでも肌の表皮近くに残っているという事は代謝が上手く言っていないということを示しています。つまり、老化が始まっているというサインですね。体内のあらゆる細胞はネットワーク化されているため、肌に老化現象が見られるという事は体内でも老化が始まっていると考える事が出来るのです。したがって肌の健康を保つ美容目的のアンチエイジングの役割は肌の代謝を助け、人体の他の細胞の代謝や消化の為に使われる酵素の生成量を相対的に増やすという事も意味しているのです。この事からも美容目的のアンチエイジングが健康とは無関係と結論づけるのはいかにも早計だと思いませんか?